「ヤノウくんのこと知っておくべきよね。これからずっと一緒なんだし!」

うん、うんとナタおばさんは言った。

「ヤノウはね、見た目は冷たいんだけどね。言葉も態度もそっけない感じなんだけど、中身はとっても暖かいのよ?それに、優しいのよ~。」


そうだと思う。ヤノウくんは確かに暖かかった。
それは、凍った心も溶かすほどに。


「でも、ヤノウも過去はひどかったらしいからねー。よく聞いてないけど。」


ヤノウくんも…なのか。でも、“も”とは言ってはいけない気がした。

彼は私以上の苦しみも受けたのかもしれないからだ。

そうでなくても、彼は彼なりに傷がいったのだから、私と一緒にしてはいけないのだ。と思った。