蒼斗クンは、自分の鞄に指差した。


「バイクに乗るとき、俺に預けてただろ?」

「あっ!」

思い出して手を叩くと、蒼斗クンは苦笑していた。



「何かさー…、さっきアイツと話してなかった?」

「っへ?」


汗が額から流れたように感じた。


「あの男、もう2度会わないって言ってたよね?」

「う、うん…」

「…俺。もーやきもち妬いちゃう」

「やきも…ち?」

「どうしてくれんの…」



ぎゅっと抱きしめられて、蒼斗クンが幼く見えてしまう。


「どうするも何も…、あたしが高校卒業するまで待っててよ」

「後…1年ちょっとかぁ」