栗色の色素の薄い髪は、サラサラと風に揺らされて。 ビー玉みたいな瞳は、澄んでいた。 あの時の男の子は今、同じ目で沙耶を見上げている。 違うのは、季節と、滾々(こんこん)と出てくる自分の涙の数々。 「沙耶」 今度は本当の名前を呼んで。 「俺が傍に居て、守るから―」 裸足のシンデレラの手が優しく引かれる。 「だから、」 その指先にキスが落ちた。 「俺のお嫁さんになって。」 ―fin