「眩暈って、日向…」

「はは、大丈夫だよ。行こ」

「…っ」



日向がニコッと沙奈に笑いかけて
何事もなかったように歩き出す。

沙奈の手が小さく震えた。


……怖い。

また、日向が…



「沙奈?」

「え、あ、ごめん。あったかい何か飲みに行こ」



ドキドキと落ち着かない胸。

昔の記憶に
沙奈がきゅっと隠れて唇を噛み締めた。