その時、

ヒラッとカエデの葉が
目の前を落ちていって。

日向が上を見上げた。



「……日向?」


足を止めて、

上を見上げる日向に
沙奈がぎゅっと手に力を入れる。


日向が見つめているのは
カエデの葉…


ザワザワと胸が騒ぎ始めて
不安に駆られた。

焦りが襲い始める。


「日向!」

「ん?ああ、悪い」

「…どうか、したの?」

「……や、もみじが…」