水木が去っていくと
2人取り残された俺と宮崎。

宮崎がふっと小さく笑ったのが分かった。


「先生が呼んでたとか嘘ついてんじゃねぇよ」

「………」

「松坂先生は、今日出張で居ない」


俺の副担だから。

そう続けて宮崎に言われて、
俺はギクッと顔を反らした。


「…何で嘘ついたんだよ」

「………」

「だんまりか。もしかして俺と水木が仲良くしてるのを見て嫉妬か?」


ピクッと俺の身体が反応。


「違う!」

咄嗟にでた言葉。


違う。そんなはずはない。

そう思うのに、
否定した言葉は慌てたもので。


気持ちと行動の違いに動揺する。


「………お前さぁ、嘘つくの下手だな」

「!」

「気づいてた?お前、嘘つく時耳を触る癖があんだよ」

「!?」


そう言われて、
初めて知る自分の癖。

右耳を触っていた手を咄嗟に下ろした。