そして箱の中に残ったタオル。


「これも、捨てなきゃ」


『俺を忘れないで』


ごめんね。

あの時の私と日向くん。


私は強さがなかった。

今の日向くんを見て、
現実を知って、

笑顔を向けられる強さなんてなかった。


これで、

私と日向くんが繋がるものなんて
何もなくなる。

ばいばい…私の思い出。


目に滲む涙を拭って、

パサッとゴミ箱へタオルを捨てた。


そして、私は部屋を出た。

外に出ると、

ちらほらと雪が舞っていて。


「さむーい」


マフラーで顔を隠すように埋めながら
足を前へと動かした。