「そう言えば…椿君、T大受かったんですよね、おめでとうございます…うちの学校始まって以来の快挙だそうですよ?」

「ああ、どうもな…」

椿は素直に賛辞を受け取ると、満足そうに笑った。

「…今さらですけど、何でうちの学校にしたんですか?余裕で上に行けたでしょうに…」

「ああ、近かったから」

「なるほど…官僚にでもなるんですか?」

「いや、弁護士…じっちゃんとの約束なんだ。司法試験受かったら好きにしていいって…」

「何だか不自由な人生ですね…」

「ははは…冬馬は?」

「え、ああ…自分はホフですよ」

「ホフ?」

「ええ、とりあえず、その道に行ける短大は受かりましたよ」

「ホフって、保育士の事か?」

「ええ…」

「へぇ〜意外…でも向いてそうだなぁ」

「そうですか?椿君は、約束を果たしたらどうするんですか?」

「え〜?考えられないな〜今は…」

「そうですか…」

人に敷かれたレールを楽しそうに行く椿を見て、冬馬は不思議に思った。

「あ、そうだ!前から聞こうと思ってた事があるんだ」

「え?」