「ありがとうございます…たぶん皆、帰ったと思いますよ?」

「パネルとかは?」

「それは昨日のうちに業者が来て、片付けましたから…レンタル料、結構するんですよ」

「なるほど…でも片付けんの早いなぁ…やる事多かったろ?」

「ええ、なので午前中に終わらせるつもりで、がんばりましたよ…」

「そっか…で、冬馬は何やってんの?」

「ああ、ちょっと持って帰る作品を物色してて…」

冬馬はそう言うと、自分の今までに描いた絵を選び始めた。

「持って帰るの大変そうだな」

椿は冬馬の隣に来ると、50号のキャンバスを眺めた。

それから椿はイスを三つ用意して、その一つにペットボトルを置くと気づいた。

「あ、紙コップ忘れた」

「ああ、確か文化祭で使ったのが余ってましたよ…」

と言って棚から紙コップを持って来ると、冬馬がコーラを注いだ。

「…三年間、お疲れ様でした」

椿はコーラの入った紙コップを冬馬に向けると、言った。