「文化部の展示は面白そうなの多いから、他も見て来るわ」

「ええ、ここぞとばかりに気合い入れて展示してますからね、文化部は」

「ははは、年に一度の見せ場だもんな〜」

「ふだん目立たないですからね…」

「じゃあ、またな〜」

「いってらっしゃい…」

来場者でにぎわう校内に、椿はくり出して行った。




「…あれ?元通りじゃん…」

文化祭の翌日…

文化祭の後片付けに追われる人の間を通って、椿は美術室の扉を開けた。

てっきり、美術部もまだ片付けで忙しいだろうと思って来てみると、いつもの部室に戻っていて、文化祭などなかったように静まり返っていた。

「あ、椿君…いいんですか?クラスの片付け手伝わなくても」

唯一、部室にいた冬馬が椿に気づくと、絵を整理していた手を止めて話しかけた。

「ああ、ちょっと抜けて来た…これ、差し入れ…誰もいないのか?」

椿は1・5リットル入りのコーラのペットボトルを持ち上げると、冬馬に見せた。