「丁度今、田中さんを喜ばせることを言ってたんだ」


「へぇ~」




菜々はニヤニヤしながら私と三鷹くんを交互に見た。



どんな言い方ですかそれ。


…まあ喜んだけど!



…ハッ!

ていうか、こうやって私と三鷹くんが話してるとこ西垣さんに見られてたらまずいんじゃ!?



そう気付いた私はパッと西垣さん達の方を見た。




「……あ」




バッチリと目が合う私と西垣さん。


西垣さんはすぐに私から目を逸らし、隣にいる相田さんとの会話に戻ったようだ。



…お、遅かった。

ごめん西垣さんと三鷹くん…。




「…何、どうかしたの田中さん」


「えっ? あ、いや」


「あ! そーだ美乃、今日どっか食べに行こうよ。テストも終わったし」




空気を読まないというか空気を読む気がない菜々は、突然そう言ってきた。


助かったっちゃ助かったけど。


でも確かにやっとテストも終わったし、久々にどこか寄りたいなぁ。




「行きたい! 行こー!」


「やった決定」


「お前ってほんとうざいな」


「お前とはなんだ。…あら、三鷹くんもどうせならご一緒する? ご飯」




三鷹くんに睨まれた菜々はそれを全く気にせずニヤニヤしたまま三鷹くんに聞いた。



…三鷹くんも誘うのか。

いいのかなぁ。




「…申し訳ないけど、ご一緒出来ないよ」




少し溜めるように言った三鷹くん。


表情は至って普通なんだけど、何か違和感がある。


…なんだろう。




「えぇ? 何か用事あるの?」


「…西垣さんに話があるって呼ばれてるんだ。放課後」


「「え」」




私と菜々は揃って三鷹くんを見つめた。



驚愕というか、呆然というか、



なぜか焦燥感が芽生えた。