――そんなことを思い出しつつ、俺は藤本さんとの待ち合わせの為に駅近くのファミレスへ歩を進める。
約2年ぶりに藤本さんと話す。
断る理由もなかったし、そもそも俺も久しぶりに藤本さんと話してみたいと思った。
予想外なのは田中さん。
和久井からカラオケに誘われて、田中さんも絶対行かないだろうと思ってああ言ったのに。
逆にそれで田中さんに火をつけてしまったようだ。
それなら俺も行けば良かったと今更後悔しても遅い。
…というか嫌な予感がする。
そしてようやく待ち合わせのファミレスに到着した。
藤本さんは店の前で既に待っている。
「ごめん、お待たせ」
「あ、みた……秀吉くんっ。ううん、私も今来たところ」
人に気を遣わせないように自然とこういうことが言える藤本さんは相変わらずだった。
彼女は俺にはもったいないくらい優しい人だ。
「じゃあ早速店入ろうか」
「うん…っ」
まだ嫌な予感がする。