「田中さん」





俺に呼ばれた田中さんは顔を上げる。


その目をじっと見つめて、俺は直前まで躊躇った言葉を放った。








「そんなに佐々木が好き?」









きょとんとした田中さんの顔を俺は逸らさず見つめ続ける。








「…うんっ、好き」









そして田中さんは、頬をほんわり赤く染めたまま眉を少し下げて恥ずかしそうに微笑んだ。




俺は一瞬目を見開いて、

ふとパンを持っていた手に汗を掻いていたのに気付く。





…その田中さんがあまりにも……、




いや、なんでもない。





「じゃあ今度こそ行ってくる」




そう言い残して田中さんは佐々木の待つ体育館裏へ向かって行った。




…10%か。