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空き教室で机に浅く座って三鷹は窓の外を眺める。


そこへ遅れてやって来たのは、呼び出しておいた西垣比奈子だった。




「ごめんなさいっ…遅れちゃって…」




教室に入りながらそう言った西垣は後ろ手にゆっくりドアを閉める。


三鷹は「いいよ」と西垣に顔を向けた。




「…三鷹くんから呼び出してくれるなんて、比奈子嬉しいな」


「実は西垣さんに言いたいことがあるんだ」




普段のふわふわな雰囲気がない西垣に、全く三鷹は動じず机から離れた。




「…もしかして、比奈子と付き合う気になった?」


「そんなありえない望みは捨てた方がいいよ」




三鷹の言葉にムッとした西垣が口を開こうとした次の瞬間。






――ガタ…。






教卓の裏に隠れていた美乃はゆっくりと物音を立ててその姿を現した。


ギョッとした西垣は三鷹と美乃を交互に見る。




「…は? まさか、三鷹くん田中さんに言ったの!?」


「うん」




平然と頷く三鷹を見上げる西垣は、険しい顔を解いてハッと鼻で笑った。