西垣くんのことも、いつも見るのに見れなくなって、下を見ることしかできなかった。
「はっすなちゃ〜ん!」
ビクっ……。
その時、柊くんがいつものテンションで話しかけてきた。
私は柊くんの顔を見ることもできなくて、1人俯いたまま。
「ねー、蓮菜ちゃーん」
ぶーっと言って、私の顔をのぞき込んだ。
「やだ…っ!! 来ないで」
その言葉に自分でも驚いた。
いつの間にか、口が勝手に動いて大声を出していた。
みんなは私の方に視線を向けた。
奈々や、西垣くんも……。
イヤだ。
視線が、1つの視線が怖いんだ。
シーンと静まり返る教室。
「蓮菜ちゃ…ごめ「ご、ごめんなさい……。ちょっとトイレ、行ってくる!」
びっくりしたような、でも悲しい顔をした柊くんが謝ろうしたその言葉を遮って教室から逃げた。