「蓮菜ー? 用意できたかしらー? 早く椎山高校に行くわよー」

「はーい」


玄関から顔を覗かせたお母さんに、部屋にいた私は急いで制服のブレザーに着替えてお母さんの方へ行った。


「いろいろと……ごめんなさいね……」


学校へ向かっていると、お母さんが申し訳けないといった表情で謝った。

多分いきなりの転校のことだろう。


「ううん。気にしないで。確かに千夏や結花と離れるのは嫌だけど、今から行く学校は楽しめる気がするの。だから、心配しないで」


その言葉に嘘はなかった。


すると、お母さんも安心した顔つきになった。


学校の門に着くとここからは私1人のため、お母さんは


「職員室に行けばいいからね。お母さん、もうお仕事行くから頑張ってね」



そう言って私1人、緊張しながら学校の中へと入った。