「れ、れんたんくんっ!?」
紛れもなく、さっき私が考えていた無口で無愛想なれんたんくんだったから。
れんたんくんは、草がいっぱいある少々下り坂になっているところに制服姿のまま寝転んでいた。
カバンは近くに投げ置かれたかのようで、片手を腕枕のように置いて、もう片方は、私の声がうるさいと言ったように人差し指を耳に当てていた。
「れんたんっつーな」
ていうか、まず……
怖いです…!!
学校で見たれんたんくんとは全然違う。
ほんとにれんたんくん…?
そうだ。人違いだ。
「すみません、すみませんっ!!人違い──」
「──そんなとこ突っ立ってねぇでここ来れば?」
私の言葉を遮るかのように彼は言った。
人違いじゃ…ない!?
私は恐る恐る近寄り、その場に座り込んだ。
「な、名前。れんたんくんじゃないの……?」
でも柊くんが言ってたんだし。
「んな訳ねぇだろ。それは柊が言ってるだけ」