蓮と付き合い始めてから、毎日一緒に学校に行っていた。
もちろん、帰りも。
学校では、今のところ付き合っていることは、知られていない。
唯一、知っているといえば奈々と柊くんくらいだ。
私は今は奈々の家だから、今日は先に行ってと蓮にメールをしといた。
でも、それが間違いだった。
奈々とチョコを作り終わって、急いで学校に着いた時には、蓮と柊くんの席の周りにはクラス全員の女子が囲んでいた。
私の席も間を挟んでいるから、行こうとにも行けない。
蓮の姿も、柊くんの姿も見えなくて私は何故か渡す気にはなれなかった。
付き合い始めてから、蓮はよく笑うようになった。
それはいいんだけれど、その笑顔を見て、女子が更に蓮のことを好きになった。
蓮は人気で、モテモテで。
わかっているけど、私は彼女じゃないの?
それとも、私だけがそう思ってるだけ?
もう、なにも考えたくなくて、裏庭へ走った。
茶色いベンチに座って、チョコの入った箱を見つめた。