「西垣くん。追いかけなくていいの?」
「あいつなら、大丈夫だろ」
「そうかな」
「……ん。つか、さっきの観覧車長くなかったか?」
そう言われてみれば……
と、隣で柊くんがニヤニヤして言った。
「俺が“あの赤の観覧車はイチャイチャ中なのでもう1周させてください”って頼んでやった」
えぇ!?
それに対し、西垣くんは呆れた様子で
「……だろうと思った」
「へへ。そろそろ帰る?」
柊くんの言葉で、解散することになった。
最初の駅に着いた頃、西垣くんが
「俺こいつと行きたいとこあるから、柊先帰って」
私と?
「わかった。じゃあな」
私なにも聞いてないよ。
って、柊くん帰っちゃう。
「なに? そんなに俺と2人イヤなのかよ」
あっ。という顔をしていると、西垣くんが少しむすっとしていた。
なんか西垣くんが可愛い。
「西垣くんが……いいです」
そう呟くと、
「ふーん」
とだけ言って、私に近づいてきた。
「へ?」
ちょっと待って。
近い近い。
──ドン
え?
ドン?
私はいつの間にか、後ろは壁になっていて、気づくと
か、かかか壁ドンというやつをされてます!?
近い近い近い。
人に見られちゃうよ。
周りばっかり気にしていると
「お前、この状況でもよそ見するんだ? この時間帯人いねぇから誰も見ねーよ」