「あの先生に呼び出されるとね、とにかく説教が長いらしいよ」

え……。


「なにそれ。最悪だ」

「あははっ。まぁ、頑張んな」


笑いながら、去って行った奈々。

あーもう、行かないでいいや。


なんてまた考えていたら、

もっさもさ頭の先生が教室の前に立っているのが見えた。


げっ……!?

ありえない……。


みんなが帰っていくその中に紛れ込んで、逃げようとすると


「や〜ま〜な〜か〜!! お前! 逃がさんぞ!」

「ヒィっ!」


バレてしまった……。

そうして始まったお説教は、約20分というところだろう。


もちろん、私の耳には、もっさもさ頭の先生の話なんて、入っているわけがなかった。


「はぁ……」

溜め息をついて、門を出ようとすると


「はーすなちゃんっ」

聞き覚えのある声が背後から聞こえた。


「柊くん?」

「正解」

「こんなところでなにしてるの?」

もう皆、私が説教されている間に帰ってしまって、他には生徒がいない。


「蓮菜ちゃんを待ってた」

「え、どうしたの?私に用あった?」

「うん。まあね。それより、長いお説教お疲れ様」

あ。

そうだった……。


柊くんも同じクラスの、しかも隣の席だから知ってるんだ。

恥ずかしい……。


「あはは……。用ってどうしたの?」

「んと、蓮のことなんだけど」


ビク……。

西垣くんの名前を出され、体がつい反応してしまった。


「西垣くん?」

私は気にせず、冷静に答えた。

「蓮菜ちゃん、蓮になんか言ってない?」


え……。



「た、例えば?」