──タタン


そんな音を立てて落ちたナイフ。

後ろにも気配を感じなくなった。


でも、横を見れば


「いってぇ……」

なぜか優くんが痛そうに頭を抱かえ、私から視線が外れた後ろを睨んでいた。


私は、その優くんが睨む視線をゆっくりと見た。


そこにはなぜか

「……柊くん?」


柊くんがいた。

慌てて走ってきたのか、息がはぁはぁ…していた。

そして、西垣くんに向かって

「蓮、遅くなって悪りぃな」

そう言う柊くんは漫画に出てくるヒーローのように見えた。