次の日になると、よく眠ったせいで怪我の痛みはほとんどなかった。
結局昨日、お母さんに黙っていられるわけないと思い、転んだとウソをついた。
お母さんは、心配そうに「気をつけなさいよ」と言って手当をしてくれた。
教室に入れば、奈々や先生まで心配された。
だけど、誤魔化してなんとか、放課後になった。
今日はさすがにあの2人からの呼び出しはなかった。
帰ろうとカバンを持って、なるべく人気のないところに行ってこっそりと帰ろうとした。
すると、
「おい、待てよ! どういうつもりだよ!」
聞き覚えのある声が、私の耳に大きく届いた。
そしてもう1人、
「別にお前に関係ねぇだろ」
冷たい声。
それは柊くんと西垣くんで……。
ここはほんとに人気の少ない廊下。
そこに響き渡る2人の声。
なんか……もめてる?