あたしたちが付き合ってる噂はたちまち学校中に広まった。


「遊ばれてるだけ」


「卓也君がお前みたいなブスを本気にすると思ってんの?」


「早く別れろ」


なんて、くだらない中傷を毎日のように受けながらも学校に行くことが苦じゃなかったのはやっぱり卓也がいつも傍にいてくれたからだと思う。


「俺の女に手出すな」


「莉子を傷つけたらまじで許さねぇ」


とかなんとか、女子高生が一度は言われたいセリフベストテンに入るようなことは絶対言わなかったけど、それでもあたしを大切にしてくれてるのはすごく分かった。




付き合ったのが夏の終わりだったから、初めてのデートは公園で紅葉を見た。


「まじ綺麗!莉子がますます綺麗に映えるわ!」

「もうそういうこと言うのやめてよ、恥ずかしいから」

「莉子、俺お前のこと本気だから」

「あたしも本気だよ?」




初めて手を繋いだのは、付き合って2週間後の帰り道。

初めてのキスは、クリスマス。

初めてエッチをしたのは、花見をした帰りだった。


あたしにとっては卓也にすべての初めてを持っていかれて、でもそれで全然いいなって思うようになって、いつの間にか自分でも分らないほどに卓也のことが大好きになってた。


あのころは恥ずかし気もなく言ってくれてた甘い言葉は、いつから耳にしなくなったのだろう。