髪の色は黒に近いほどの茶髪で

耳に光る銀色のピアスが印象的

屋上に吹く小さな風が

彼の長いとも言えない髪の毛を揺らしていた。



 ─どくん どくん


胸の鼓動が高鳴るのが分かった

(彼をもっと近くで見たい─)

心がそう、叫んでいる


胸の奥が無意識に熱くなっていく




・・・あたしは、恋をした。

未だ名前も知らない彼に




それからあたしは彼から

何秒間か目を離すことができなかった。


でも彼はあたしの視線に気付くことはなく



ただ一点を見つめているだけだった。


何を考えているのかも分からない


なんともいえない、でもどこか優しい表情で。