さっそく、新生徒会長による改革は進められた。
ストレスチェックにて高ストレス者と判断された人から、カウンセリングを受けるらしい。
私と華恋、美冬が引っかかったので、さっそくカウンセリングを受けた。
私や華恋は分かるが、美冬は意外だ。
カウンセリングは放課後に行われた。
どうやら由紀さんが大学で教壇に立つゼミの学生らしい。
なるほど、ある程度歳が近いほうが悩みも話しやすい、というわけか。
受験生なら進路の相談もしやすい。
なかなかに策士だ。
考えたのは由紀さんか深月かは分からないが。
「由紀さんの娘さんも、大変ね。
人望はあるだろうけれど。
この間も、生徒会長になったのが気に入らない人たちと一悶着あったみたいだし。
その時は、たまたま見ていらした理事長が止めに入ったって聞いたわ。
当然、その子はひっそりと退学になったようだけれどね。
未成年にも、悪いことをすると制裁が待ってることを分からせないと駄目よね。
いじめなんて軽く聞こえる単語でオブラートに包まれているけれど。
中身は立派な犯罪ですもの。
とにかく、何か、困ったことがあったら何でも話してちょうだいね。
力になるわ」
そう言って、器用に片目を瞑った後、部活に向かう私を見送った。
私と同じくらいに部室に入ろうとした深月を呼び止めた。
「何か一悶着あったみたいね。
大丈夫?」
よく見ると、彼女の人差し指には大げさに包帯が巻かれていた。
「ちょっとね。
コネで生徒会長になったんだろ、って難癖つけられただけなんだけれど。
止めに入ってくれた巽くんと、たまたま、本当にたまたま通りかかった琥珀のお父さん。
その2人があっけなく制圧してくれて。
事の次第は、琥珀のお父さんから理事長にすんなり伝わったらしくてね。
その人たちはひっそりと退学にさせられた、って話なだけよ。
この怪我は、転んだ時に変な手の付き方をしちゃっただけ。
ミッチーの手当が大袈裟すぎるのよ、ホントにもう。
私の琥珀のお父さんに、もう少しいろいろ習おうかしら。
これじゃ、しばらく楽器は無理ね。
ボーカルに専念しようっと」
部室に入ると、部室にいた椎菜や麗眞くん、秋山くんや琥珀が、心配そうな目で深月を見た。
「何もなくて良かったよ。
何しろ、今度の主役だからな。
どこかの誰かじゃないけど、大怪我して入院でもされたら困る」
それ、私のこと?
そんな麗眞くんの言葉にも琥珀は無反応だった。
修学旅行でのあの言葉を、彼女が今でも根に持っていることがありありと分かった。
少し話してみると、自分にも非はあるし謝りたい気持ちはあるという。
謝るタイミングがないのと、謝罪の台詞が壊滅的に貧弱で、言えていないのだという。
私も協力したいが、わざと麗眞くんと琥珀を2人きりにするなんてことは無理だ。
こういうことは、椎菜と深月が得意だろう。
ここは、得意な人たちに任せるべきだろうか。
それが賢明な判断な気がした。
ストレスチェックにて高ストレス者と判断された人から、カウンセリングを受けるらしい。
私と華恋、美冬が引っかかったので、さっそくカウンセリングを受けた。
私や華恋は分かるが、美冬は意外だ。
カウンセリングは放課後に行われた。
どうやら由紀さんが大学で教壇に立つゼミの学生らしい。
なるほど、ある程度歳が近いほうが悩みも話しやすい、というわけか。
受験生なら進路の相談もしやすい。
なかなかに策士だ。
考えたのは由紀さんか深月かは分からないが。
「由紀さんの娘さんも、大変ね。
人望はあるだろうけれど。
この間も、生徒会長になったのが気に入らない人たちと一悶着あったみたいだし。
その時は、たまたま見ていらした理事長が止めに入ったって聞いたわ。
当然、その子はひっそりと退学になったようだけれどね。
未成年にも、悪いことをすると制裁が待ってることを分からせないと駄目よね。
いじめなんて軽く聞こえる単語でオブラートに包まれているけれど。
中身は立派な犯罪ですもの。
とにかく、何か、困ったことがあったら何でも話してちょうだいね。
力になるわ」
そう言って、器用に片目を瞑った後、部活に向かう私を見送った。
私と同じくらいに部室に入ろうとした深月を呼び止めた。
「何か一悶着あったみたいね。
大丈夫?」
よく見ると、彼女の人差し指には大げさに包帯が巻かれていた。
「ちょっとね。
コネで生徒会長になったんだろ、って難癖つけられただけなんだけれど。
止めに入ってくれた巽くんと、たまたま、本当にたまたま通りかかった琥珀のお父さん。
その2人があっけなく制圧してくれて。
事の次第は、琥珀のお父さんから理事長にすんなり伝わったらしくてね。
その人たちはひっそりと退学にさせられた、って話なだけよ。
この怪我は、転んだ時に変な手の付き方をしちゃっただけ。
ミッチーの手当が大袈裟すぎるのよ、ホントにもう。
私の琥珀のお父さんに、もう少しいろいろ習おうかしら。
これじゃ、しばらく楽器は無理ね。
ボーカルに専念しようっと」
部室に入ると、部室にいた椎菜や麗眞くん、秋山くんや琥珀が、心配そうな目で深月を見た。
「何もなくて良かったよ。
何しろ、今度の主役だからな。
どこかの誰かじゃないけど、大怪我して入院でもされたら困る」
それ、私のこと?
そんな麗眞くんの言葉にも琥珀は無反応だった。
修学旅行でのあの言葉を、彼女が今でも根に持っていることがありありと分かった。
少し話してみると、自分にも非はあるし謝りたい気持ちはあるという。
謝るタイミングがないのと、謝罪の台詞が壊滅的に貧弱で、言えていないのだという。
私も協力したいが、わざと麗眞くんと琥珀を2人きりにするなんてことは無理だ。
こういうことは、椎菜と深月が得意だろう。
ここは、得意な人たちに任せるべきだろうか。
それが賢明な判断な気がした。