それから数日が経って、まだ多少咳は出るものの、麗眞くんは元気に学校に復帰していた。
今日は、朝から教師も生徒も皆、古びたブラウン管テレビに釘付けになっていた。
ホームルームなんてそっちのけである。
その理由は、生徒会長の所信表明演説があるからだ。
新生徒会長になった深月は、淀みなく自らの言葉で、決意を語っていた。
私が長い間いじめに遭っていたから経験があるからだろうか。
誰も取り残さないとして、ちょっとした心の不調も見逃さない姿勢を示した。
生徒と教師は全員、カウンセラーと必ず月に1度は面談すること。
年に1回、心の健康診断であるストレスチェックを義務化すること。
この2つを、、高らかに宣言した。
それは既に、理事長への承認を得ており、すぐにでも動くということだった。
すごいな、深月は。
皆、新生徒会長の演説を一秒たりとも聞き逃すまいと、耳をダンボにしている。
得意げな表情でそれを聞いている男子生徒が2人。
秋山くんと、麗眞くんだ。
「何で、麗眞が得意気なわけ?」
「んー?
いろいろ影で手伝ったからな。
昔からの知り合いの父親、としてじゃなくて、理事長として掛け合う時間作ってもらったり。
理事長にプレゼンするための資料作成にも、アドバイスしたしね。
プレゼンの特訓は、相沢がやってくれた」
「んも、いつの間にそんなことしてたのよ。
だから風邪ひくんじゃないの?
頑張りすぎよ、もう」
「椎菜がいろいろ届けてくれたから早く治ったんだし。
期末試験終わったら、ご褒美やるから考えといてな」
何て会話をしてるんだ、この学園公認カップルは。
というか、椎菜、いつの間に麗眞くんのお見舞い行ってたのね。
そんな会話をしているうちに、秋山くんは教室からいなくなっていた。
「きっと、新生徒会のメンツで写真撮影でもするのよ。
いつになくちゃんとシャツのボタン、上までしっかり留めてたし」
華恋がそう言うと、そっか、と皆納得した顔をした。
予鈴の後に姿を見せた深月と秋山くん、美冬と小野寺くんは、心なしか疲れた表情を見せていた。
「おー、お疲れ様だな。
新生徒会のメンバー達。
期待してるぞー!」
バンバンと深月と秋山くんの背中を叩いた担任教師。
「関口と小野寺も、頑張ったな。
いい画が撮れてたぞ!
お前たち4人は、少し遅れても大目に見てくれるだろう。
他の奴らは、授業に遅れるなよー」
「うわ、明日雪かな……」
怖いくらいに上機嫌な教師の様子を見て、誰かがポツリとそう呟いた。
面倒な世界史と化学の授業を乗り切った。
深月が世界史であまり当てられなかったのは、もしかして教師も新生徒会会長に気を遣っているのだろうか。
「学校の主役は教師じゃない、あくまでも生徒だ。
教師は生徒へのアドバイスを送るだけの存在だと思ってくれればいい。
いい学園に出来るよう、頑張ってほしい。
学園の皆で、良い学園を創るんだ。
何かあったらいつでも、何でも相談してほしい。
良いリーダーがいる国は、国民が幸せそうにしている。
それは、これから世界史の授業の中で君たちが学んでいくことでもあるからな。
応援しています」
最後に世界史の教師はそんなことを話して、授業を終わらせた。
何だか、一見チャラい茶髪の教師にしては、深いことを言う。
お昼ご飯の時間も、深月は美冬のラジオにゲスト出演していたりと、大変そうだった。
学園が変わる渦中に身を置けるのは、誇らしいような気もしたし、憂鬱になりそうな気もした。
今日は、朝から教師も生徒も皆、古びたブラウン管テレビに釘付けになっていた。
ホームルームなんてそっちのけである。
その理由は、生徒会長の所信表明演説があるからだ。
新生徒会長になった深月は、淀みなく自らの言葉で、決意を語っていた。
私が長い間いじめに遭っていたから経験があるからだろうか。
誰も取り残さないとして、ちょっとした心の不調も見逃さない姿勢を示した。
生徒と教師は全員、カウンセラーと必ず月に1度は面談すること。
年に1回、心の健康診断であるストレスチェックを義務化すること。
この2つを、、高らかに宣言した。
それは既に、理事長への承認を得ており、すぐにでも動くということだった。
すごいな、深月は。
皆、新生徒会長の演説を一秒たりとも聞き逃すまいと、耳をダンボにしている。
得意げな表情でそれを聞いている男子生徒が2人。
秋山くんと、麗眞くんだ。
「何で、麗眞が得意気なわけ?」
「んー?
いろいろ影で手伝ったからな。
昔からの知り合いの父親、としてじゃなくて、理事長として掛け合う時間作ってもらったり。
理事長にプレゼンするための資料作成にも、アドバイスしたしね。
プレゼンの特訓は、相沢がやってくれた」
「んも、いつの間にそんなことしてたのよ。
だから風邪ひくんじゃないの?
頑張りすぎよ、もう」
「椎菜がいろいろ届けてくれたから早く治ったんだし。
期末試験終わったら、ご褒美やるから考えといてな」
何て会話をしてるんだ、この学園公認カップルは。
というか、椎菜、いつの間に麗眞くんのお見舞い行ってたのね。
そんな会話をしているうちに、秋山くんは教室からいなくなっていた。
「きっと、新生徒会のメンツで写真撮影でもするのよ。
いつになくちゃんとシャツのボタン、上までしっかり留めてたし」
華恋がそう言うと、そっか、と皆納得した顔をした。
予鈴の後に姿を見せた深月と秋山くん、美冬と小野寺くんは、心なしか疲れた表情を見せていた。
「おー、お疲れ様だな。
新生徒会のメンバー達。
期待してるぞー!」
バンバンと深月と秋山くんの背中を叩いた担任教師。
「関口と小野寺も、頑張ったな。
いい画が撮れてたぞ!
お前たち4人は、少し遅れても大目に見てくれるだろう。
他の奴らは、授業に遅れるなよー」
「うわ、明日雪かな……」
怖いくらいに上機嫌な教師の様子を見て、誰かがポツリとそう呟いた。
面倒な世界史と化学の授業を乗り切った。
深月が世界史であまり当てられなかったのは、もしかして教師も新生徒会会長に気を遣っているのだろうか。
「学校の主役は教師じゃない、あくまでも生徒だ。
教師は生徒へのアドバイスを送るだけの存在だと思ってくれればいい。
いい学園に出来るよう、頑張ってほしい。
学園の皆で、良い学園を創るんだ。
何かあったらいつでも、何でも相談してほしい。
良いリーダーがいる国は、国民が幸せそうにしている。
それは、これから世界史の授業の中で君たちが学んでいくことでもあるからな。
応援しています」
最後に世界史の教師はそんなことを話して、授業を終わらせた。
何だか、一見チャラい茶髪の教師にしては、深いことを言う。
お昼ご飯の時間も、深月は美冬のラジオにゲスト出演していたりと、大変そうだった。
学園が変わる渦中に身を置けるのは、誇らしいような気もしたし、憂鬱になりそうな気もした。