「本当、可愛いよね柚ちゃん…だっけ?」


お姫様は柚の方を見て俺に問いかける。


だが、俺は何も答えなかった。


…確かに柚は他の女よりも顔立ちは整っている。


メイド服も本人は嫌そうだったが、とても良く似合っていた。


そんなこと、本人の目の前で言うことは出来ないけど。


「本当…可愛いよね。可愛すぎてあの顔をぐちゃぐちゃにしちゃいたいくらい」


「は…?」


何言ってるんだこのお姫様は。


頭のネジが一本外れたか?


「そんな冷たい目で見ないでよ八尋。大丈夫、そんなことはしないから」


本当にそうしたらあたし、八尋に嫌われちゃうでしょ?


「……」


嫌われる以前に俺はお姫様を嫌いなんだけどな。


そのことをお姫様は気付いていないのか言葉を紡ぎ続ける。


「八尋はあたしだけのものだもん。あの子は邪魔でしょ?ねぇ?」


同意を求めるように首を傾げるお姫様に俺は首を横に振った。