八尋さえあたしの元に来てくれればあの子に手出しなんてしないのに。


振り向いてくれないからって簡単に諦められることなんて出来ないの。


好きな人の隣に居るのがあたしじゃないのに、違う人と幸せになってなんて綺麗事も言えない。


そんなに大人じゃない。


八尋が遠くに行ってしまわないように追いかける事しか出来なくて


いつの間にか距離が徐々に離れていく。


「あたしが傍に居てあたしが八尋の居場所になりたかった」


居場所が無いと言った八尋に暖かい居場所を作ってあげたい。


その居場所を他の女に譲りたくなかった。


出来ることなら閉じ込めて、他の子なんて入れないようにしたかったのに、突然あの子はあたし達の前に現れたの。


天使みたいな顔をして、毒づく彼女に。


あたしとは正反対な子。


とても強い女の子。


何もかも違う。


でもたった一つあたしとの共通点があった。


それは…


“八尋を好き”な事。