太陽の光に照らされてよりいっそう茶色くなっている髪の毛を書き上げる彼のもう一方の手には、淡い桃色をした封筒。

「俺ってモテモテだなぁ~」と言っている彼に、私は苦笑を浮かべた。



「預かったの?」

「急にそれかよ! 『もしかして久山君宛?』とか言ってくれないの!?」

「ごめんごめん」



相変わらずの彼に、思わず笑ってしまった。



「……ったく、俺に差し出されるラブレターの三通に一通はあいつ宛なんだよなぁ~」

「いやいや、それ逆でしょ。三通に一通が久山君宛なんじゃん」

「はぁ!? ちょっと那智ちゃん、それは酷い!」

「事実を言ったまで」



ムスッと拗ねた彼――久山君は、なんとも可愛らしいく思える。

容姿は“可愛い”というよりも“かっこいい”と言った方が正しい。

そこら辺にいる女子生徒よりも、遥かに何倍も綺麗で整った顔をしている。

かっこよく、綺麗で、美人だ。



彼の人気もまた、他校にまで及んでいる。

容姿は勿論のこと、バスケのセンスも素晴らしいものを持っているため、それで憧れている人も多い。