その日は最後まで夜に馬鹿にされて
課長を意識してしまった。


これもそれも全部夜のせいなんだから!


なんて心の中で愚痴ってみたりして。


そんなモヤモヤしたまま家に帰った。


一人で暮らしているその部屋は、ただいまも
しん…とした部屋の空気に飲み込まれた。



「誰もいないか…。ま、そうだよねー」



なんて独り言も言ったり。


そしてストッキングをスルスル脱いでいると
機械的なチャイムの音がした。



「はいはーい。今行きまーす」



と尚も鳴り続けるチャイムに返事をしながら
玄関に行くと。



「…課長?」



「あぁ、その課長だよ。…寒い。
早く中に入れろ」



「え!?あ、はいっ待って下さいっ」



と、テンパりながらも言ってドアを開けた。



「か、課長?どうしたんですか?」



「あぁ…」



そう言って目線を下に落とした課長を見ながら
やっぱりカッコいいなぁ、なんて。



「これ。─結婚式の招待状」



その瞬間時が止まった気がした。