課長の優しさを知ってから、と言うもの
怒られてもあの日の事を思い出すと
何故か怖さも和らいで。


──ねぇ、知ってる?
課長って本当は優しいんだぞ!


なんて他の子が怒られているときや
愚痴っている時に思って。


自分でも気付かない内に頬が緩んでいたみたい。ふふ。



「何笑ってんの?」



なんて呆れ顔で朝から何度も言われたりして。



「えっ、なに!?また緩んでる!?」



「うん。そのにやけ顔何とかならないの?」



朝からずっと冷たい目線を向けるのは
月村 夜 (ツキムラ ヨル)。


私達の名前が星と月だから似てるね!

なんて、意気投合して仲良くなった。


今では私が弄られ役に成り下がってしまっている。



「まぁいいけど、何があったわけ?」



軽くため息をついて彼女は怠そうに喋る。



「ん、とね。優しかったの!とっても!」



「……は?」



数分黙った後彼女は声を発した。



「だぁかぁらぁー!優しかったんだってば!」



「誰がよ?」



「課長!」



「はぁぁぁぁぁぁぁ!?何言ってんの?
あの槙村課長が?
──有り得なさすぎる」



そう言って鼻で笑うと私をジッ…と見てきた。