―凜said―

あたしはいつの間にか寝ちゃったみたいで、気がついた時には龍樹はいなかった。


«怜雄からメール来て予定入った、悪ぃ»
ってメールが来てた。



なんだー....起こしてくれればよかったのになぁー。



なんて、寂しく思うあたしは、
相当重症だと思うよ....。
本当笑っちゃうくらい、
龍樹にぞっこん。
自分でもびっくり。





あたしは長いこと開けていなかった、
ドレッサーの引き出しの前に立った。




二度と開けることは無いと思っていた。
怖くて開けなかった。




けど、今なら大丈夫な気がして
鍵をあけて、思い切り引っ張った。








引き出しの中には、
幼い自分と夏樹の河原での写真。

それと....
夏樹から貰ったネックレスが、
閉まった時と同じようにそこにあった。





『夏樹....もう、あれから1年経つんだね』


写真の中で笑う二人を見ても、
涙は流れなかった。


ネックレスは、貰ったあの日以来つけていなかった。



『夏樹はやっぱりセンスがいいね』
ネックレスは、あたし好みのデザイン。




夏樹は、捨てていたとしても。

あたしは捨てることなんて出来ないよ。








今会いたいのは、
夏樹じゃない。





龍樹だってことに、
あたしはホッとした。