―龍樹said―

この前の海旅行で、
凜と胡桃が話しているのを少し聞いた。



『元彼に逃げられた』
そんなようなことを胡桃は言っていた。


逃げられたって、なんだよ?

別れたんだろ?
まったくどうしようもねぇな。




今、目の前ですやすや眠る凜をみて、
どう疑えっていうんだよ。



まぁ、疑ってなんかねぇけど。




俺は凜の部屋を見回した。

女の部屋には何度か入ったことあったけど、なんか雰囲気違う。

綺麗に整頓された家具と、
ピンクと白でまとめられた、
いかにも、凜って感じの部屋。

部屋は凜の匂いでいっぱいだった。
香水は別につかってないって聞いた。




俺はふと、
『卒業アルバム』
と書かれたものに目がいった。


凜は寝てるし。まぁ、いーよな。

俺は卒業アルバムに手を伸ばした。



『霞ヶ丘....?』
どこかで聞いたことがあった気がしたけど...なんだっけな。



俺が構わずページを捲ろうとした瞬間....


挟まっていたと思われる写真が
アルバムの中から滑り落ちた。



それを広いあげて裏返しにすると....








『嘘....だろ?』
霞ヶ丘?聞いたことある?
俺はなに甘ったるいこと言ってんだよ。








『夏樹....?』






そこに写っていたのは....








双子の兄、日向夏樹だった。