―凜said―

あっという間に夏休に入り、
ついに龍樹との、お初お泊り海デートの日がやってきた。

この日までに、あたしなりに結構色々と頑張った。ちょっと、痩せた♡

未遥に買い物付き合ってもらったり、
お金貯めたりした。


でも、初デートがお泊まりで、しかも海なんて...
やっぱハードルたけぇ...!!



皆、学校で待ち合わせになっていた。
あたしは、ちょっと早く出過ぎちゃって、早く着いてしまった。

と、思ったんだけど...もう先客がいた。


色白で長い手足、
茶色の、綺麗にセットされたボブヘアに
露出度高めの水玉ワンピース...
それは、
いつかの天使第一号だった。


『あ、こんにちは!』
天使第一号さんは、あたしに気づくと、
ニコニコしながら挨拶をしてくれた。
...マジで天使だ...!!

『私、姫野 胡桃。胡桃ってよんでね!伶雄くんに誘われたの。2日間宜しくね!凜ちゃん!』



...え...
なんだとぅ!?
伶雄やるじゃねえかあいつ!!
姫野 胡桃ちゃん!?様!?
超可愛いな。
名前からしてレベルがちげぇ...

『あ、あたしは更級 凜です!宜しくお願いしますっ!』



いやぁ、これプラス京香さんでしょ?
あたし、終わったわぁー...


『あのさ...』
すると、
胡桃は急におとなしくなって、
真剣な顔をしてあたしを見つめた。


『凜ちゃん、龍樹と付き合ってるの?』
え...いきなり、それ?

『う、うんっ』
すると胡桃は、一瞬怖い顔をして、
またいつもの笑顔で
『そっかぁ!』
とだけ言った。


えー...なんか怖いな。
あたしちょっと苦手かも...


なんだかんだやってるうちに、
みんな集まり出した。


車を運転してきた京香さんの彼氏がイケメン過ぎて見とれてたら、
龍樹に睨まれた。
嫉妬なんて可愛いじゃねぇか、龍樹くん!

『じゃ、出発するね』
と、茶髪の大人びた、京香さんの彼氏はまじで格好よかった。
でもよくみたらピアスめっちゃつけてたから、龍樹たちと同じ類なんだなって思った。

名前は...晴...先輩?
まぁいっか。


で、とりあえずあたしがわかったのは...


胡桃は龍樹に気があるってこと!!
さっきから、やたらと龍樹と話すし...

前会ったときも、
なんか仲良さげだったし...
どうゆう関係なんだろ...
てか、これじゃぁ誘った伶雄が可哀想って思ったけど、
別に伶雄は気にしてなくて、
京香さんと晴先輩と楽しくおしゃべりなんてしてやがった。


だからあたしは、
車内で一人ぼっちの感覚を紛らわせるために、未遥にメールした。

胡桃について、情報通な未遥に聞いてみることにした。


« 姫野 胡桃ねぇ...ひとつだけ言えるのは、あの子相当龍樹くんのこと好きってことかなぁ。有名だもん。とにかく!!気を抜くんじゃないぞ(๑´• ₃ •̀๑)»
と、未遥から返信が来た。


やっぱりかぁ...
相当とか、有名とか、勘弁してよ...
あんな美人にかなわないじゃん...

って、なに弱気になってんだ!?
あたしは龍樹の彼女だし!!
龍樹はあたしの彼氏だし!!
少なくとも今は、胡桃より有利だし!!


...って、あたしはこんなことに張り合うために、この旅行に参加したわけじゃない!!


龍樹とenjoyするために、
海に来たんです!!



『具合わりぃの?』
もんもんしてたあたしに、
龍樹がしゃべりかけてくれた。
まだ胡桃との会話中だったのに...

『ぅうん!!』
なんかあたしは、それだけで充分な気がつした。

それに、胡桃がしゃべってるだけだし、
元々龍樹は別にって感じだったし!!


気がつくと、
眼前には青く澄んだ
空と海が広がっていた。