電話は、中学時代からの親友、
秋山未遥からだった。




『もしもし、凜?あんたやっぱ寝坊した?』
電話越しに笑う未遥の声が憎らしい..クソ。


『なによ!!用ないなら切るけど!?』
今、あたしは走ってるんだZo!!



『あのねあのね、昨日の入学式に来てないイケメンが二人もいるんだって!!しかもその二人、うちのクラスだってよ!!』




興奮気味に未遥は話し出した。
あー、未遥こーゆうの好きだもんなぁ...。
...でも!!



『...未遥!!あんたには陽がいるでしょ!?』


未遥は美人で、スタイルが良くて、ショートヘアが似合うサバサバした女の子だ。昔からモテて、中学からのイツメンだった篠宮陽と付き合っている。
陽も 、イケメンで、スポーツ万能。今ゎ県外の高校のバスケ部で頑張っている。



『陽は別だからぁ!でも、見てみたくない?』
クソ...なんなんだリア充!!

『リア充爆発しろ。』
そう言って、あたしは一方的に電話を切ってやった。

イケメン...ね。
少しだけ、あいつの笑顔を思い出した。





あたしは走るスピードを早めて角を曲がった。
その瞬間...





激しい衝撃と大きく揺れたあたしの体...





う...やばい、ぶつかった...転ぶっ!!





揺らぐ視界に写ったのは赤みがかった茶髪...
そして、甘い香水の香り。






ッ...
あれ...?あたし、転んでない...?

『てめぇ、どこ見て歩いてんだ!!』
『ひゃぁ!?』

あたしの腕を強く掴んで叫ぶヤンキー。
...っぽい人。







でも...あたしの目は、
彼の顔に釘付けになった。