―龍樹said―

泣いているあいつを見て、
思わずキスしてた。

でも、凜が嫌がらずに受け止めたのには少し驚いた。

『龍樹、あたし龍樹が好きだよ』
涙を浮かべながら、
凜がつぶやいた。

『...俺も』
もう、誰にも渡したくねぇって本気で思った。
こんな風に思ったのは初めてだった。

俺は初めて、
愛おしさで女を抱いた。


凜の顔は、
母さんとは全然違ったんだ。




凜は知らないうちに寝てた。
俺は寝顔をまじまじと見た。


猫みたいなふわふわした髪。
雪みたいに白い肌。
人形みたいに大きな目。
細くてちっちゃい身体。


実はこいつはモテてたりする。
学校の中じゃ、
胡桃と競うくらいだとか言われてる。
まぁ、本人自覚ねぇんだけど。


俺は凜の髪を指でとかした。
こいつ、俺を放っておいてどんな夢みてんだよ。

ほっぺをびろーんって引っ張ったら、
『ふにやぁー』
なんて変な声出しやがったから、
思わず吹いた。


俺は凜を思いっきり抱きしめて、
気づいたら、
俺の意識もおちていた。