―龍樹said―

とりあえず全力疾走した。
嫌がる凜に迫る冬月を見た瞬間、
気付いたら殴ってた。
ほかの奴らもボッコボコにしてやった。

俺は、ズビズヒ泣いてる凜を、
家に誘うことにした。
あいつは、俺がそういうつもりで誘ったんどと思ったらしく、睨みつけてきた。

ったく...どうしようもねぇ。
『妄想女め』
っていったら、
『変態男ぉ!!』
って殴られた。

こんなホッそい腕に殴られても、
全然痛くねぇんだけどさ。



俺の家は、
パリコレモデルと銀座のクラブのオーナー掛け持ちしてる姉貴のおかげで、
そこそこのマンションに住まわせてもらってる。
姉貴は、母さんが死んだあと、
俺を心配してこっちに来てくれた。

『ちょ...龍樹!?』
玄関の前で止まって、
信じられねぇ!!って顔して、
凜は突っ立ってる。

『あんた...金持ちだったのか...』
馬鹿だなこいつ。やっぱ馬鹿だわ。

『いーから早く入れよ。』

チッ...
姉貴買い物か...勝手に部屋入ると怒られるし...ん?


振り返ると、凜が母さんの遺影を、
苦い顔して見つめてた。
俺に気づいて振り返ると、
『龍樹...』
またうるうるしてやがった。

『はぁー...』
俺は泣きそうな凜を、
ガキをあやすみたいに頭を撫でた。

『俺の母親は、最低な女だよ。』
気づいたら、凜に話していた。