―凜said―
更級凜。
ぴっちぴちの受験生です。
(そして危機感もまったくないです。)
広く綺麗な青空の下、
彼氏である日向夏樹と放課後デートしてます!
この河原のお花畑はあたしと夏樹の秘密の場所。
放課後はいつも二人でのんびり過ごすのが日常だったりする。
『あ、ねぇ夏樹みて!!ソフトクリーム!!』
空にはソフトクリームの形をした雲が浮かんでて、あたしは思わず大声で叫んだ。
『ばぁか(笑)おまえいつも食べ物のことしか考えてないんだなぁ』
そう言ってお腹をかかえて夏樹が笑い出した。
...はぁあ!?いつも!?え!?...
やば...無意識のうちに食べ物のことが...
『そんなに笑わなくたっていーじゃん!!///』
やばい。恥ずかしすぎるでしょ...
『わかったわかった(笑)てか、凜。目つぶって』
急に真剣な顔になった夏樹におもわず目をつぶってしまった。
なんだ...またいたずらされんのかな..(焦)
カチ。
という音と同時に首筋に触れた冷たい感触。
『目、あけていいよ』
夏樹の声が聞こえたのと同時に目を開けると...
『えっ、なにこれ!?可愛い!!』
あたしの首には、銀色の小さな十字架のネックレスがついていた。
『プレゼント!!しかも俺とお揃い』
そう言って夏樹はポケットから、
同じ形の金色のネックレスを出した。
『ありがとう!!』
やばい、超嬉しい!!
うん、絶対毎日つける!!
『凜』
そう呼ばれるたび、
身体がまるごと心臓になったみたいにドキドキする。
『ん?何ー...んっ』
呼ばれて振り返ったあたしは、
夏樹の唇の温かさを感じていた。
顔を少し離した夏樹は、頬を赤らめながらあたしの目をまっすぐ見つめた。
あれ...?
『凜、俺は...』
そう言って
空を見上げた夏樹のまつげは、
陽の光を浴びてキラキラしてた。
なんで...濡れてるの?
『この空の下、
どこにいたって、
俺はお前のこと想ってる。』
そしてまた、
あたしの方を向いて、大好きな笑顔で笑った。
あの時のあたしは。
この言葉の本当の意味も、
あの涙の訳も、
何一つわからなかった。
馬鹿みたいに信じてたんだ。
そう言って笑った夏樹の笑顔を。
次の日、あたしのまえから夏樹は...
いなくなってた。