「ちょっと、ちょっと!」
「なに?」
「な、なにって。遥、昨日大垣とデートしてたの?」
デート……と言われても仕方ないか。
「ううん。ただ歩いてただけ」
「あ、なんだ」
美羽、多分大垣くんが好きだな。
どうでもいいけど。
楠本くんがいなかったら何もやる気が起きない。今まで、なんでも楠本くんに好かれたくて頑張ってきた。
部活はなにもやってないけど、テスト勉強も楠本くんの顔を思い浮かべて頑張ったし、ダイエットだって頑張った。
今はもうなにもやりたくない。やったって、甲斐なんて……ない。