「……ダメよ、この子はあなたのじゃない」

恐かった、きっと人ではない。

声が震えてしまった。

震えた身体で姪っ子を強く抱きしめる。


「その子私にちょうだいよ」

まだ言ってくる。

にやけた口元、帽子のつばで目までは見えない。

けれど、その目線は姪っ子しか見ていない。

近づいてくる。

私は目をそらしてしまった。

その人を見ていることが恐怖のため出来なかった。