「あいつトイレとか行くタイミングほしいから曲入れといてやった方がいいぜ。」
秋仁さんはそういいながらリモコンをいじりだした。
曲を入れろと言われても、何を入れればいいのだろうか。
男の人とカラオケにいったことがないので、戸惑うばかりだ。
「適当に、適当に。
どんな曲でもドンと来い、だ!笑」
秋仁さんは私の戸惑いに気づいてそういってくれる。
でも、やっぱり何を歌えばいいかわからない。
「木野さん、これ歌える?」
そう言って秋仁さんが見せてきたのは、今流行りの女性シンガーの曲だ。
「これ、女の子に歌ってもらいたいんだよなー。
歌える?」
「下手かもせれませんけど、一応歌えると思います。」
よく理沙が歌っている曲で、CDを借りたこともあるので、大丈夫なはずだ。
「じゃ、入れるよ。
歌えなかったら俺歌うし。」
そういいながら曲を入れる秋仁さん。
気を使ってくれたみたいだ。
やっぱり、秋仁さんは優しい。