「ひどいなあ。じゃあ、また明日ね?」
ヒラヒラと手を振って友達らしき人の元へと戻っていった。
『はぁ‥』
ホント女って面倒臭い。
海梨や、昔からの友達以外だけど。
『ごめんな?』
そう言うと
「全然?そろそろ帰ろっか」
海梨は困ったように微笑んで立ち上がった。
『は?』
そこからの行動は早くて、一人で会計を済ませると店を出て歩き出す。
『ちょ、おい!海梨!』
「なに?」
『なにじゃないっつの。止まれ!』
振り向きもせず。
『――っ!待てって!』
やっとの事で掴んだ腕には力がなくて、抵抗はなかった。
『怒ってんの?』
「……ない‥」
振り絞って出されたような声は、少し震えていたのかも。
『さっき‥、何言おうとしたの?』
"ね、慶士?本当はあたし―…"
「……」
何を言いたかったのか分からないけど
『俺に言いたい事あるんじゃねーの?』
あれを言う事で海梨の胸のモヤモヤは消えるんじゃないかって‥