もしかしたらまだ大学に慣れてなかったから元気がなかったのかも。


そんなことを思ってたけど



『どした?』

急に黙り込んだ海梨に、いともあっさりと吹き飛ばされたその思い込みは

すぐにまた不安へと逆戻り。



「ね、慶士?あたし本当は―‥」

「慶士じゃーん!」


『‥は?』


口を開いたと思った矢先

背後からの叫ぶような声に掻き消された海梨の言葉は、一体何だったのか。


考える暇もないくらい声の主は俺につっかかる。


「慶士もこういうとこ来るんだー」

『…広瀬』

「もー、友香でいいってー!ってゆうか友香って呼んで」


バレーをしていた中の一人。勝手に俺を呼び捨てにする女だった。

別に嫌いじゃなかったけど、この時までは。



戻っちゃったじゃねーかよ。

不安を抱えた海梨の顔に。

やっぱり、そっか。



『分かったからあっち行け』

「なんか冷たー」


『……』