―――…
――…
この日、全ての講義を終えてマンションへと急ぐ。
帰り際、湊に言われた
「ちゃんと話せよ」
という言葉を握りしめ、車のキーを勢いよく回した。
今日は約束をしてた訳でもないし、会えるかも分からないのに。
思い立ったらすぐ行動、という言葉は俺には似合わないのに。
今日だけは違う気がしたから。
途中メールを入れようとしたけど、すぐに返ってこなかったらイラつくしやめた。
ふと、考えた。
俺なんかのどこがいいんだろう―…
車を20分ほど走らせれば海梨の住むマンションが見えてきた。
俺はすぐ隣のコンビニに車を止めてマンションに入った。
オートロックのため、玄関で番号を押して呼び出す。
いないかも…
半分くらい諦めていたから
"はい?"
その声にはかなり驚いた。
『あー‥っと、俺だけど』
"‥はい?…え、慶士?"
『そう』
"え、何で?ちょ‥、すぐ降りるから"
その焦りようが可笑しくて、軽く笑ってしまった。