教室に入るとすでにクーラーがきいていて、すっかりリラックスモードの生徒達の中で、一人だけ机に伏せた奴を見つける。
『寝るの早くね?』
そう声を掛ければ、怠そうに体を起こし、そのまま背もたれに体を預けるように座った。
「‥寝てねぇ、バテてただけ」
そう言って顔まで後ろに反らしたのは、小学生からの仲である湊(みなと)。
どういった訳か、中学も高校も大学までも一緒なのは、俺達が親友のような幼なじみのようなものだからなのか。
湊とは一生の付き合いになりそうだな、としみじみ感じさせられた今日この頃。
『バテるよな、この暑さは』
「だりー‥」
できることなら家で寝てたい。
『まぁ、すぐ夏休みだけど』
大学の休みは長い。
特に楽しみがあるわけではないけど、学校が休みってだけでこんなにも待ち遠しい。
「横浜帰んの?」
『あー‥、顔見せるくらい?』
「へー。あ、海梨こっちいるしな」
『そ』
俺らは東京の大学に入学して、今は一人暮らし。
海梨は東京の違う大学に通っている。