既に遠くなった雪乃をぼーっと眺めていると
「ねーぇ、お城作ろーよー!」
という声が届き、大学生にもなって‥、と腕でバツ印を作ったけど
『‥見てねぇし』
やっぱりお構いなしで、既に一人で作り初めてしまった。
そして時折、こっちに向かって手招きをする。
『‥ったく』
正直…、嫌じゃなかった。
こんな風景も新鮮だな、と少しだけ胸が疼く。
「湊さ、暑いの嫌いなんでしょ?」
『うん、大嫌い』
所々崩れていく砂をすくいながら話す。
「あたしはさ、大好きなんだよね、夏」
『まじ‥、どこがいいの』
「なんかねー、ワクワクするっ」
『ふーん‥』
分かんねぇな。