静かに上下する肩。
トクントクンと伝わる心音は、かなり安心する。
『寝た?』
「んな訳ないでしょ‥」
『ふ…』
今度は即答。
こんなにも全部が全部、俺のツボなのに。
「…慶士」
『ん?』
俺の胸に顔を埋めたまま話し出す。
「ずっと…、ずっと不安だったのね?」
俺が海梨を好きじゃないって。
「だから一緒にいても、ちょっとだけ辛かった‥」
一緒にいたいのは海梨だけなんじゃないかって。
そこまで思わせていた俺の態度って、一体どんなのだったのか。
ふと思い返してみる、けど分からない。
そう考えている俺の心情を読み取ったように海梨は「全部あたしの不安のせい」と言った。