Smartell a story

早速、魁斗は真一に連絡をするためにSmartellを使ってみることにした。コールを数回ならした後、真一が出た。

「もしもし、手に入れたぞ真一」

「佐々木さん、場所はわかりましたか？」

「場所はようやく、わかったが、あそこは会員制だってな？」

魁斗は誓約書のことや、お試しのことが出来ることを真一に話した。

「えっ…えぇー…貴方を…………」

真一の声が暗く沈んだように聞こえた。

「何だよ、どうした？貴方を…何？」

「いえ…何でも無いです。良かったですね。また明日、仕事現場で会いましょう」

いつもの口調に真一は戻っていた。

「おう、また明日な」

魁斗は沈んだような声が気になりつつ電話を切った。辺りは、すっかり日も落ち虫の鳴き声が心地よく感じた。

「綺麗な満月だな」

魁斗は暫く空を見上げた。月明かりの中、バイクに乗り途中、夕食を買いにスーパーに寄り家路に付いた。部屋に戻り風呂や夕食を済ませてた。

「今日は疲れたな明日に備えて早く寝るか」

魁斗は居間に布団敷き横になった。うとうとと眠りにつく頃だった。


「誰か…私を……出……し……て………」


「誰だ？」

魁斗は飛び起きて部屋の周りを見渡した。
しかし、部屋には誰もいない。

「変だな、今日の俺は疲れとるのだな。声なんか聞こえるわけがないとにな」

魁斗は苦笑いをして再び眠りにつく。


「ねぇ…いるのでしょう？…私から貴方が見えるもの」

女性の声が今度は幻聴ではなくリアルに聞こえてきた。

「だっ、誰だ…俺、ホントに、おかしくなったのか…幽霊なんて、いるわけねぇ…疲れてるんだ、疲れてるんだ、いるわけなか…まさか真一は、このことを言ってたのか…」

魁斗は念仏を唱えるよに繰り返しながら昼間の真一との会話を思い出していた。


「ねぇ…今日、私を受け取ったでしょう？」

「受け取った？あっ…」

魁斗は…お試しに使ってるSmartellに視線を向けた。

「やっと気付いたみたいですね。早く私を出して…」

「何だよ、私を出してって意味がわからん」

魁斗は不思議そうにSmartellを眺めていた。


「ほら、Smartellを手にとってアプリを開いて起動して下さい。早くー」


「んっ、どうするんだ、うーん、たぶんこれかな。うっ…うわっ…」

魁斗は慣れない手つきで、どうにか起動スイッチ押した。押した瞬間…Smartellに強力な電流が流れた。魁斗は感電して意識を失い倒れてしまった。