“青島紗英”は僕の好きな子だ。
はっきり言うと美人でもないし、可愛いって訳でもない。
一重に近い奥二重の目に小さい鼻と口。 髪はボブ。
一年生の時の夏のことを青島さんは覚えているかな。

*一年生の夏 図書館にて*
「ねぇ、なんであたしと別れるつもりなのよ。」
僕が三年生と付き合っていたときに
「わたしっ、栢山くんと付き合ってます!!」
青島さんが庇ってくれた。
僕は図書館に誰もいないと思ってたけど、青島さんがいてビックリした。
「へぇ、あなたが彼女?
祐みたいな超美青年があなたに振り向いたとでも思う? 
あなた 自分の顔、鏡で見たことある?
あなたみたいな人が祐の隣にいてはいけないのよ!  分かった?」
川西先輩(三年生の先輩)は物凄い形相で青島さんに言った。
「分かってます!!!
私が可愛くないのも、私が栢山くんと一緒にいてはいけないことも分かってます!
けど、私 栢山くんが大好きなんです。
私が栢山くんを大好きな気持ちは誰にも負けません。
だから、川西先輩 栢山くんと別れてください。
お願いします……っ。」
青島さんは川西先輩に必死に向かって僕のために頭を下げてくれた。
「青島紗英ちゃん、よね?
さっきは言い過ぎてごめんなさいね?
栢山ー、“彼女”借りてくわね?」
川西先輩はにっこり笑って図書館を出て行った。