北川がジュースを買い終わって帰ろうとしている


待てよ、


まだ行くなよ



そう思った俺は、思わず北川の手首を掴んでしまった。



北川にはびっくりされたが、北川が言葉をいい終えるより先に、俺は言葉を発していた



「ピッチャー!」



北川にはフリーズをされた


そりゃいきなり自分のポジション言い出すなんて、頭おかしいとしか思えないだろう


でも、俺にはちゃんと考えがあった


北川はどうせ俺のポジションすらしらねーだろ


だから先に言っといたら、おれのこと少しでも見てくれるかもしれない


そう思ったから



俺がにっこり笑うと、急に北川の顔がちょっぴり赤くなった気がした


っ…。


そんな顔すんなよ


少しでも期待しちまうだろーが



そのあと北川はなにか言葉を早口で言って、観客席のところへもどった



少しは俺のこと見てくれるかな…?